「一坪の奇跡」を読んで

早朝からの行列が途切れない和菓子店「小ざさ」のについて書かれた本「1坪の奇跡」を読みました。自分の気づきなどを書き留めておきます。

本の概要

東京吉祥寺にある和菓子店「小ざさ」の現役女社長、稲垣篤子さんの回想録。商品は、羊羹と最中の2つのみで、特に羊羹は1日150本限定発売のため、早朝から行列ができ、今日に至る40年間途切れていなのだそうです。たった1坪の店舗で年商3億円。創業から今に至るまでの歩みや、味へのこだわり等が紹介されており、行列の秘密を知りたいビジネスマンにも広く読まれている一冊です。

創業者の情熱

私は常に創業者に対する尊敬の念というのが強くあって、この本でも紆余曲折を経て究極の羊羹にたどり着いた創業者(お父様)の情熱に大変感銘を受けました。

他の小豆菓子にはない味と食感のバランスや、お客様の入りやすい店づくりのために熱心に研究と実践を重ねた、まさに「小ざさ」の基礎を築いた方で、その情熱にとても感銘を受けました。

本物へのこだわりと社会貢献
また、おいしい羊羹を作るための徹底したこだわりがこれでもかというくらい紹介されています。原材料の仕入れ、仕込み(「紫の一瞬の輝き」を求めて全神経を研ぎ澄ますことの大切さ)、包装、接客に至るまで、人気の和菓子店の話というよりもはや羊羹職人の話という印象です。

さらに値上げの是非や障がい者雇用に対する考え方も書かれていて、とことん「私」よりも「公」を重んじる経営哲学を感じました。このあたりが「小ざさ」が長年愛される秘訣なのかなぁという感じです。

ブランディング・マーケティングの大切さ

三浦崇典さんの書評を読んで気づいた新しい視点も記しておきたいと思います。

「幻の羊羹」は、1本600円ほどでしかなく、1日限定150本である。
と、すれば、1日に羊羹の売上は9万円程度、月に270万円、年間でも3200万円ほどでしかない。3億円には到底至らないのである。年商の1割程度でしかない。
吉祥寺「小ざさ」の商品は、幻の「羊羹」と「もなか」の2品しかない。
そうだとすれば、簡単な引き算で、「もなか」が売上の9割を占めていることになる。実に、「もなか」で年商2億7000万円以上である。

ダイヤモンドオンライン」より

数量限定の「幻の羊羹」にばかり注意がいってしまっていたけれど、実は「小ざさ」を支えているのは数量無制限の「最中」だったという事実です。数量限定という希少性を生かした「幻の羊羹」によるブランディングと、大量生産できる「最中」による売り上げの確保。

新しい視点で読み返してみると、他にも気づきがありました。本書のタイトルは「1坪の奇跡」なので、そんなに小さなスペースで年商3億円を生みだしているの?!という驚きがありますが、よくよく読んでみると、1坪サイズの店舗とは別に製造工場が存在するのだということにも気づいたのです。

本書をさらっと読むだけでは気づかなかった視点で、本書の内容よりも強く印象に残りました。良いものではければ売れないのだから、羊羹や最中が良いものであることは間違いないのですが、ブランディング・マーケティングもなければ良いものも売れないのだ、ということを学ぶことができました。

最近読んだ本の中で、ある意味一番勉強になった本でした。これからしばらくは書評とセットで読むということを続けていきたいと思っています。

投稿者プロフィール

Takako
一年の大半を外国人のお客様と旅をして過ごしています。旅先で感じたことなどを時々アップしています。シドニー在住。
Personalised group/self-guided travel organiser across the world. From the country on the map to the one where your new friends live.
詳しいプロフィールはこちら