ミシンを買いました。日本と海外ではミシン事情が異なり、ずいぶん苦労しました。今回の経験を共有して、これからミシンを購入したいと考えている人の役に立てればと思い、記事を書きました。
日本と異なるミシン事情
はじめてのミシン購入。まずはインターネットでの情報収集ですが、日本語で情報収集した日本ミシン購入の知識・常識が海外では異なり、まごつくかもしれません。私の経験に基づく、日本と異なるミシン事情を5点紹介します。
1 「ミシン」では通じない
書くまでもないかもしれませんが…「ミシン」は英語で「ソーイングマシンsewing machine」。日本語ではマシンの部分のみが訛って使用されています。「ミシン」と言っても通じません。
2 ミシンの分類が異なる
ミシンの分類が日本のそれと異なります。よって、日本でなじみの分類で店員さんに相談しても話が通じませんでした。
日本の分類は以下のようになっています。(※素人である私が調べた範囲でのまとめです。Wikipediaやミシン専門店、各種電化製品販売店のホームページをみて理解した内容をまとめています)
- 家庭用ミシン:コンピューターミシン、電動・電子ミシン。個人の趣味用
- 職業用ミシン:仕立て屋や使用頻度の高い個人向けの直線縫い専用ミシン
- 工業用ミシン:工場の作業台に備え付けの大型ミシン
一方、私が「体験した」オーストラリアおよび英語圏のミシンの分類は、次の通り。
- 家庭用ミシン:コンピューターミシン(刺繍用/キルト用/両用)、電動・電子ミシン
- 工業用ミシン:法人販売
ここで強調したいのは「職業用ミシン」の存在です。
日本では、本格的に洋裁を始めたい人に人気の「職業用ミシン」ですが、オーストラリアではまるで存在していないかのようで、説明しても理解してもらうことができませんでした。”Professional Sawing Machine”と言って説明しても理解してもらえず、「プロ用のミシン=工業用ミシン=机に備え付けのミシンであり、アパレルメーカーなどの法人が購入するのものだよ」との返答ばかり。具体的に「JUKIの〇〇」と型番を伝えると、欲しいミシンは理解してもらえましたが、多くの販売店が扱っていませんでした。
また、「電動ミシン」と「電子ミシン」は日本ほど区分されていません。「(普通の)ミシンSewing Machine」とだけ表示されています。
参考までに各種ミシンを英語を記しておきます。
- 家庭用ミシン:Home Sewing Machines
- コンピューターミシン:Computerised Sewing Machine
- (コンピューターミシンの)刺繍ミシン:Embroidery Machine
- (コンピューターミシンの)キルト用ミシン:Quilting machine
- 電動・電子ミシン:(Mechanical)Sewing Machine
- 工業用ミシン:Industrial Sewing Machines
3 マーケットの関心の違い
日本では本格派に人気の「職業用ミシン」。直線縫いしかできないにも関わらず「プロのような美しい仕上がり」に価値を置く人が多いように感じます。職業用ミシンかコンピューターミシンか、シンプルな電子・電動ミシンか、という3つが主な選択肢になるようです。
しかしオーストラリアでは、圧倒的にコンピューターミシンへの関心が高いです。キルトや刺繍への関心が高いからのようです。コンピューターミシンのうち、得意なのは刺繍か?それともキルトか?この2つが主な選択の基準になるようです。電動・電子ミシンは、スーパーなどでも販売していて、とりあえず安価なものでミシンライフを始めようかなという人向けのようです。
4 値段が高い
オーストラリアには自国のミシン製造メーカーがないので、すべて輸入品です。よって日本で購入するよりもずっと値段が高いです。同じミシンが2倍の値段するという人もいました。
また、もともとコンピューターミシンが主流なので、スタートは10万円から。100万円を超えるものも普通に販売されています。
そのくらいの出費を覚悟する必要があります。
5 流通しているブランドが違う
日本で流通している有名なブランドは「ジャノメ」「ブラザー」「JUKI」「シンガー」「ジャガー」「ベビーロック」などだと思いますが、オーストラリアでは「パフ」「ハスクヴァーナ」「ジャノメ」「ブラザー」「ベルニナ」「ミツビシ」などを多く見かけます。
ミシンを探し始めた当初、「パフ」や「ハスクヴァーナ」などは聞いたこともないメーカーだったので無視してしまっていたのですが、この2社こそが私に必要なブランドだと気づきはじめ、その特徴や強みが分からず色々と勉強をせまられることになりました。
参考情報
- パフPFAFF: ドイツ最強の工業用ミシンメーカー
- ハスクヴァーナHUSQVANA:スウェーデン生まれ刺繍ミシンの上位ブランド
日本で購入か?or 現地で購入か
海外での購入は、前述したミシン事情の違いにより予想以上に面倒で難航し、日本で購入したものをオーストラリアに持ち込むことも考えました。次回帰国した際に購入してオーストラリアに持ち帰ろうか、またはAmazonで購入して家族に送ってもらうなどです。
しかし結局「現地購入」を選択。その理由は以下の通りです。
<現地購入のメリット>
①電圧Voltageの違いと補償
日本製のミシンをオーストラリアで使用するには、変圧器が必要になります(日本は100V、オーストラリアは220/240V)が、オーストラリアで購入すれば電圧などの心配は一切不要です。
変圧器を使用すれば利用できるので、日本で使い慣れたミシンを海外へ持っていくというケースもあるようですが、変圧器を使っても、変圧器の不備のために(2倍もの電圧が流れて)一瞬で高価なミシンが壊れてしまうことがあったり、それが理由の場合には補償が効かないという点を考慮すると、現地購入のほうが安全だと思いました。
②現地購入で得られるサポート
はじめてのミシン。使い方も分からず壊してしまうこともあるかもしれません。そんな時に現地でのサポートは心強いと考えました。ブランドが同じであれば日本で買ったミシンでもサポートもしてくれるようですが、やはり現地で購入しそこにサポートをお願いするのがスムーズかなと思います。
③レッスン
多くの手芸店・ミシン取扱店では定期的にレッスンがあり、使い方を教えてくれたり、悩みの相談に乗ってくれます。英語のマニュアルを読んでも分からない時に力強い存在です。私の場合にも、購入した場合にはレッスンが半額で受講可能ということで、現地購入の魅力がアップしました。
<現地購入のデメリット>
一方、現地購入のデメリットもありました。マニュアルが全部英語、ということです!海外在住の方なら、ある程度現地の言葉は理解できると思いますが、それでも日本語のほうが圧倒的に楽だし理解が早いです。ミシンの機種によっては、ディスプレイもすべて英語なので、これもまた一苦労です。
私が購入したもの
以上、様々な検討を経て私が購入に至ったのは
ハスクヴァーナのサファイア930というコンピューターミシンです。
ハスクヴァーナの中で最もパワーがあってガツガツ縫うのに耐えうる(Heavy duty)タイプのミシンです。キルト用・刺繍用のスティッチも豊富に搭載されており、個人的にそこは不要だったのですが、私がミシンに求めていたもの(以下)を満たしてくれるものだったからです。
<ミシンに求めていたもの>
- 着物帯などの厚い生地がガツガツ縫える
- シルクなどの薄い生地も縫える
- 縫い目が綺麗
- あまり高くない
残念ながら④は叶いませんでしたが、①~③までは叶いそうです(本当に叶ったかどうかは今後のお楽しみです)。
作りたいもの:お客様へのプレゼント、日本文化への入り口
あれこれ苦労して購入したミシンで作りたいもの。それは、ツアーに来てくださるお客様へのプレゼントです。
世界のあちこちで購入した生地、特に日本で購入した美しい着物の生地や帯を使って、しおりやコースターなどの小さなプレゼントを作ろうと思っています。また個人的には「刺し子・こぎん刺し」の美しさにとても引かれているので、これまでに刺し溜めたものをミシンで加工して素敵なプレゼントにできたらいいなぁと思っています。
日本のことをまだ何も知らないお客様に、日本に対してネガティブな印象を持っているお客様に。日本の美しい生地を見てもらって、日本・日本文化に興味を持ち、将来的には日本に来てもらいたい、そう思っています。
さて、今日もマニュアルを読んで勉強しよう。
投稿者プロフィール
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一年の大半を外国人のお客様と旅をして過ごしています。旅先で感じたことなどを時々アップしています。シドニー在住。
Personalised group/self-guided travel organiser across the world. From the country on the map to the one where your new friends live.
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